※オフラインのため掲載できなかった日記です。
ブルターニュの南西Quimper(ケンペール)で開催されているフェスティバルにやってきました。
火曜日から日曜日まで開催されているのですが、旅程の都合で火曜日の晩に到着、木曜日の早朝には帰らなくてはいけません。
ケンペールに電車で着くと、そこは山のそばの美しい街、大きな教会の尖塔が見えました。
どこかからともなく、楽器の音が聞こえてきます。
教会のそばにある特設会場では、一日中無料のコンサートが開催されています。12時から、
Hanaff/Bergeronというヴァイオリン(ブルトンではフィドルとは呼びません)とギターによるデュエット。
ブレトン、アイリッシュの両方を演奏していました。ブレトンはもちろん、アイリッシュも本場らしいタッチで素晴らしいです。語学にバイリンガルな人の言葉の使い分けを見ているような不思議な気分でした。ブルターニュでは、ヴァイオリン、フルート、アコーディオン奏者はアイリッシュも演奏する人は多いように思います。
その次にDui Leonで、ボンバルドとスコティッシュ・グレート・ハイランド・パイプス奏者のデュエット。
これは完全にブルトン音楽の、かけ合いの演奏でした。ダンス曲になると、踊りたくてうずうずしている人が、誘い合って踊り始めます。こちらでは、バガッド(鼓笛隊?)でハイランド・パイプスを演奏するのは知っていましたが、ダンスの伴奏音楽としても使うことを始めて知りました。通常はビニュー・コーズ(ブルトン・パイプス)が使われます。
続いて、ハイランド・パイプス奏者James MacKenzieとギター奏者。Jamesはフルートも演奏します。どちらも見事ですが、フルートのときはアイリッシュをしていました。
こちらの特設会場では、ムール貝とフライド・ポテトのセットが8ユーロで売られており、山盛りのムール貝を楽しみました。
しばらく空いて夕方からこの街が誇るバガット・ケンペールの行進。バガット・ケンペールは、スペインの笛吹きカルロス・ヌネスとCDやコンサート共演するほど有名なバンドなので、見れて良かったです。子供が半分くらいで、ハイランド・パイプス、ボンバルド、スネア・ドラム、大太鼓という編成でした。人垣ができていました。
you tubeに上がっていた別のビデオです。
有料コンサートは、今日は笛吹きとしては大当たりです。
ひとつめはGuidwires。アイルランド人4人とブルトン人1人によるアイリッシュ中心のバンドです。フルートはSilvain Barouシルヴァン・バロウで、独特かつ天才的に上手いプレーヤーです。
ほか、コンサーティナにPadraig Rynneポーリッグ・ライン、フィドルにTola Custyトーラ・カスティー、ブズーキ、ギターという編成。コンサートには1000人以上の人がいたでしょうか。運良く前の方に座れま
した。
このバンド、それはそれは上手いし、クールな感じでかっこいいのですが、ちょっととっつきにくいというか、ノリづらいんです。変拍子を多様していることと、サウンドの傾向が全体的に似ているからなのかな?お客さんもいまいちついていっていないようでした。昔のバンドCianで印象的なポーリグの超絶なコンサーティナが聴けることもちょっと期待していたのですが、あまり目立っていませんでした。
シルヴァン・バロウは10年近くファンで、初めて生で見ましたが、やはり素晴らしいですね。どうやったらあんな風に演奏できるのか、謎です。彼はブルトン人フルーティストでは珍しくほとんどアイリッシュを演奏しますが、基礎にあるのはブルトン音楽の奏法だということです。
発音時を含め、タンギングを多様することや、ブルトン的アーティキュレーションが彼の独特なスタイルの要素になっています。イリアン・パイプスも上手でした。
これだけ上手なのに、聴いても何の印象も残らないのが残念です。
続いて、元Flookの笛吹きBrian Finneganブライアン・フィネガンの新しいバンド、KAN。こちらはまだCDが出ていないので、貴重です。
共演はスコットランド人フィドル奏者のAidan O'Rourkeエイダン・オルークと、ギター、ドラムス奏者の計4人。
演奏中、ベースやバンジョーの音がしたり、フェードインやディレイなどが聴こえたので、よく注目してみるとエイダンが足元で操作しているようです。その演出もぴったりはまっていました。フルックの曲も演奏していたので、サウンド的にフルックを踏襲したものかなと思わせましたが、見事に、よい方向に裏切ってくれました。
曲は基本的に各メンバーのオリジナルで、ドラムス奏者も良い曲を書きます。また、イスラエルのジャズベーシストの曲や、ポーランドの現代音楽化にインスパイアされた曲など、もうすでにやっている曲はアイリッシュでもケルトでもなく、近未来型アコースティック音楽!?
前にも書きましたが、音楽の善し悪しは、それを聴いてどういう心理的な状態になるかが結局は
一番重要なことです。KANはリフレッシュされるような、明日への希望と活力がみなぎってくるような音楽です。このバンドは一気にメジャーになるでしょう。
深夜に、先ほどの無料の会場に戻り、こちらではFesa-Nozフェスト・ノーズが行われていました。
ヴァイオリン、アコーディオン、キーボードの3人で、会場では大きなダンスの輪が渦巻きのように
ぐるぐると回っています。フェスト・ノーズとは訳すると夜の祭り。お昼ならフェスト・デイズと言います。
ピアノが入っているのは珍しいです!
ブルターニュの踊りについては改めてご紹介しますが、アイリッシュのようにセットを組むのではなく、日本の盆踊りのように輪になってぐるぐる踊ります。ダンスの伴奏にキーボードが使われているのを初めて見ました。とてもかっこよかったです!
最近、ようやくブルトンのダンス音楽の種類が分かってきました。アイリッシュとは違い、ブルトン音楽は拍子で分類しているわけではなく、ダンスの振り付けによって分かれますので、区別がつきにくい場合があります。ですが、いくつか演奏できるようになり、曲調から判断できるようになりました。
ダンス音楽を知るには自分で踊るのが一番と思い、輪に飛び込んできました。ステップは簡単なのですが、腕を組んでいるため、どんくさいと周りをひっぱってしまいます。それでも、楽しく踊りました。
ブルトン音楽はアイリッシュ以上に繰り返しが多く、中には4小節だけという曲もあります。
踊りも8拍1サイクルくらいで、複雑なダンスや音楽が好きな人には単調でしょうが、これがトランス状態を生むのだそうです。人間、単純な動作を繰り返していると、脳が麻痺してくるというか、違う世界にとんでしまうことがあります。そういう魔力がブルトン・ダンスにはあります。
こうして、真夜中まで人々は踊り続け、僕は途中で疲れ果て、クレープをかじりながら家路についたのでした。