昨日は、自室でみっちり教本第二弾の執筆の予定でしたが、夕食を食べようと寮から出たところ、ノルウェー人の友人に通りで出会い、街のDoran'sというレストラン・パブでのセッションに誘われました。学内のお店は全部閉まっているからDoran'sで食べようと言われ、行くことにしました。
彼はノルウェーのBergen在住で、医大で勉強中の24歳で、相当アイリッシュに傾倒しています。
「~のアルバムは持っているか」、「~の曲は~のCDに収録されてる」と、オタクっぷりに笑ってしまいます。肺活量を増やすために、朝にジョギングしているそうです。いや、僕も彼のこと笑える立場じゃないか^^;
ノルウェーの話をたくさん聞きました。自然、人、文化、言葉、食べ物。
ノルウェーの音楽や言葉のことで何か質問することがあるかもしれないから、そのときは英文に翻訳してよと頼んでおきました。 いつでも歓迎するから、いつか遊びにおいでと。
メキシコ人の友人には、あちらのおいしい食べ物、ビーチで海水浴、古代遺跡の話も聞きました。
コーンウォールで出会ったドイツ人のヴィンセント君は、ベルリンはめっちゃクールな街だからぜひおいで、ドイツにきたら一緒にレコーディングしようぜと言って貰えました。
彼は、第二次大戦中のドイツの話、日本との結びつきについても熱く語っていました。世界の国々が、日本をどう認識しているのかを聞くことは、自分の視点が変わる思いで楽しいです。
ヨーロッパ人は本当によく世界を旅します。彼らは2、3個の言語を操るのはお手のもの。EU圏内は自由に移動できますから、進学、就職は国外も選択肢に入ります。旅先で作った恋人の言葉が違えば、その言葉も覚えてしまいます。
たとえばノルウェーは人口400万人ですから、国外と取引しないと経済がまわらないそうです。英語とのバイリンガルは必須だそうです。こうしてどんどん世界とつながっていきます。それを思うと、日本人は国内ですべて事足りてしまい、日本の中で閉じこもって視野が狭くなりがちな気がします。
今回、Skypeでレッスンをしながら旅ができることがわかりましたし、ネット環境さえあれば、もしかしたら仕事をしながら旅を続けることが可能になるのではないかとも思っています。Skypeレッスンは、何も日本人だけ対象にしなくても、地球規模で生徒募集ができます。楽器、CDの販売や卸売りは旅先からでも商品を動かすことができます。スケールが大きな話だと思いませんか?
アイリッシュ・セッションは、中年のフィドル、フルート、ギター、バウロンの4人がホストで、僕たち学生が6人で乱入しました。
ちょっとだけ録画しました。
http://www.youtube.com/watch?v=ckEdhRLZ_9c
フィドル、フルートの両方ともかなり巧く、盛り上がりました。二人ともCDを出しているわけでも有名なわけでもないと思うのですが、そのくらい弾けるミュージシャンはどんな街にでも、数えて余るほどいる、というのがアイルランドです。
彼らの一人でも日本に引っ越してきたら、パブの演奏もレッスンも引く手あまたでしょう。もちろん日本語が堪能であることが条件ですが...。
3時間くらいの演奏で、ほとんど会話なしのぶっつづけで演奏しましたから、200曲くらいはやったんじゃないかと思います。そのうち98%くらいの曲に参加できました。ホストにも受け入れられている感じがして、聴きなじみの曲はかりでとても居心地が良かった一方で、ふと、醒めてしまう自分がいます。
この人たちは、なぜダンス曲をひたすら弾き続けているんだろう?
さっき演奏したジグも、いまやってるジグも、結局は似たようなものじゃないか...。
伝統の外にいる僕だから感じてしまう、根源的な疑問。
彼らは、セッションで何かを表現したいわけではなく、一緒に曲を弾いて、その場を分かち合うことが楽しくて弾いているのだと思いますが、僕にはそれでは満足できないのだと考えながら弾いていました。
初めてリムリックに来たのは19歳、当時もDoran'sのセッションに参加しました。そのときは、セッションの場に混じって、1曲でも参加できれば大興奮でした。ひとまわり年を重ね、いろいろな音楽的経験をして、アイリッシュに古巣のような居心地のよさを感じつつも、自分のものではないなと思っています。
リムリック大学で伝統音楽で学位を取って、コンペティションで受賞して、こちらで生活しながらパブで演奏して10年、20年と暮らせば、それなりに有名にもなり、CDの何枚かは出せるかもしれません(実現可能かは別として、そういう人生の選択肢もあるということです)。
でも、僕にはそれが全く魅力だとは思えません...。
ノルウェー人の友人にも、伝統音楽のCDを作れば?と言われましたが、他の誰かにできることを自分がやることに、意義が感じられないと伝えました。
やはり、ケルト伝統音楽は僕にとってはライフワーク、学びの対象、趣味であり、自分が人生の一番のテーマにしたいものではないのだと改めて考えています。
ノルウェー人の彼並に伝統音楽にのめりこんでいる人には、水を差して申し訳ありません。
ケルトから学んだものをベースに、自分なりの表現、音楽を作りたい。
今までもそうでしたが、そういう距離の置き方でこれからも付き合っていきたいと思っています。