熊野にお住まいの、家具作家の新谷さんという方がいらっしゃいます。去年熊野のコンサートに来て下さり、熊野の友人(と言ってよいでしょうか)前さんのご親戚とのことで、工房に伺ったことがあります。
熊野の木を使ったオーダーメイド家具を一人で手作りなさっていて、去年お伺いした時に、フルートケースを作って頂けたら素敵だなあと思い、お伝えしました。新谷さんもまんざらではなかったのですが、その時はフルートの写真を撮って頂いただけで、採寸はせず、具体的なお話しはしないままでした。
新谷さんが仰った言葉が印象的でした。「もう子供も独立したし、これからは残り少ない時間で自分が作りたいと思うものだけ、作っていきたい。もし気が進まない注文があったときは、若手の方をご紹介することにしたい。」
今回熊野に行き写真撮影をする中で、フルートケースがぼろぼろになってきたことが気にかかり、これで欧米に旅行をするのは心もとなく、新谷さんに正式にお願いをしてみようと思いました。去年のお言葉があったので、受けて頂けるかどうかは賭けでした。
前さんを通じて電話して頂くと、新谷さんも、僕のフルートケースのことが気にかかっていたのだそう。ぜひ工房へお越しください、と誘って下さり、伺いました。楽器を採寸して、フルートケースのデザインの希望もお伝えしました。ピッコロ、ティン・ホイッスル、アイリッシュ・フルートが入るB4サイズのケースになりそうです。木材は、色々な木を見せて頂き、その中で木に行った「楓」を使って頂くことになりました。木材の手触り、木目、はては匂いを嗅いでまでして選んでいたので、新谷さんには「感覚人間ですね」と笑われてしまいました。
来年の5月末には頂けることになりそうです。熊野で育った木を使ったフルートケースを携えて欧米を旅することが出来るなんて、熊野の神様に守られているようで、頼もしいです。